退院から在宅療養への3つのハードル

ホスピスシンポジウム2019

奈良県のがん医療を考える

2019年11月24日に、奈良県文化会館 小ホールに
県内外から、識者、患者、家族が集まった。

4名のパネリストのなかから、
奈良県宇陀市で訪問診療、在宅医療に携わっている
医療法人豊生会 加藤クリニック院長
加藤 久和医師の発表から書き起こしてみた。

加藤医師は、宇陀市で年間2000回の訪問診療をし
40~60人を在宅で看取っている。

その半数はガン終末期の患者である。

加藤医師の発言から、在宅医療を考察する。

1. 病院での医療と在宅での医療

病院で受ける医療と、お家での在宅医療は大きく違う。
在宅での医療は、医療を提供するとともに
生活を支えることが求められている。

病院での医療は、治す医療である。
病気の原因を取り除き、救命をする。

専門的であり、臓器を診療していくのが基本である。

かたや、在宅医療は支える医療である。
苦痛を取り除き、生活を成り立たせていく。

慢性期、終末期に対応して、治らない病気を診る。
患者を人として全人的に支えていく。

病院での医療は、長寿をめざして、治るかどうかの
結果に重きをおく。
在宅での暮らしが難しくなった患者さんを
安定化させて地域に戻すのが仕事である。

かたや、在宅での医療は、天寿をめざす。
その人がどういう風に生きたのかという
過程に重きをおく。

みんな、最後は天に召されるのであり、
治らない病気であっても、
住み慣れた場所で生活することを支える医療である。

治すための医療と、支えるための医療

この違いに対して理解がすすまない。
そして、問題も山積みである。

まずは、地域に医療を支えていく、医師の
絶対数が不足しているということがある。

地域の開業医は高齢になり、廃業が相次いでいる。
高齢化の中で地域を支えねばいけないという意識が病院には希薄である。

病院・在宅医療・患者家族の視点から加藤医師は考察していく。

2.病院、在宅医、患者家族それぞれにハードルがある。

病院:

病棟の医師、看護師の多くは、

在宅医療についての知識、情報がなく。
さらには、興味すら持っていない。

介護保険や福祉についても理解していない。

疾病のことしか見えておらず、
在宅に帰ってからの生活など、頭にない。
病気を治療さえすれば、良いと認識している。

在宅医:

受け入れる在宅医側は、訪問診療をする医師の
絶対数が足りない。医師の高齢化がある。

在宅医の本来の役割というものを意識していない。
ここでも、介護保険の知識のない医師がいる。
どういう社会制度があるのかはわからない。

ケアマネージャーや訪問看護の重要性
なんなのかも理解不足。

一人で医院を切り盛りしており、
365日、24時間対応するのは、難しい。
専門外の疾病についての治療には自信がない。

患者と家族 :

どんな病気でも、入院して治療すれば治ると過大に期待している。

家族介護のマンパワーが不足のうえ、
家で介護するといった意識が薄れている。

病院からや、在宅医からも十分に情報が得られないため、
当然ながら、介護保険などの制度に関しての知識がない。

病院に入院してうけているのが最高の治療であると思い
在宅での医療も同じようにしてもらいたいと要望する、
大いなる勘違いが起きている。

3.3つのハードルを越えるにはどうする!

多くの病院内に、地域連携室が設置されるようになり、
退院時の患者の生活や介護について、病院外と連携をとる部署が
整備されてきた。

その内容としては、まだ不十分なむきもあり、
これからの成長に期待したい。

退院前カンファレンスも開かれるようになってきたが、
まだ、病棟内での意味づけが弱く形ばかりの面もいがめない。

しかし、医療、福祉、患者、家族があつまり開催されるようになったことは
ずいぶんとした進歩であることは間違ではない。,

そこから、
ケアマネージャーと訪問看護の存在を意識して
活用をすすめていくことである。

ケアマネージャーは介護、福祉側の取りまとめであり、
統率者であり、計画者である。
また、訪問看護は在宅医療には欠かすことが出来ない。

この重要性を認識するべきである。

訪問看護によるサポートなしでの在宅医療は不可であるといっても
よいであろう。いわば、扇の要の存在である。

在宅医の不安としては、専門外の疾病についての
サポートを得にくいということである。

これは、iOTの発達が解決するとおもっている。
まずは、医師間で相談できるメーリングリストを活用することから
スタートできると思っている。

症例に対するアドバイスがうけることができれば、
在宅医が一人でかかえこむ不安は大きく減らすことが
できると期待しており、整備を県レベルで整えてほしいと要望している。

4.ガン末期は在宅療養ができるのか。

加藤医師の発表を中心に書き起こしたが、
パネリストとして

奈良県医科大学付属病院 四宮 敏章氏
ゆい訪問看護ステーション所長 森本 広子氏
医療法人菊川医院 介護支援きくかわ管理者 菊川 節子氏

が発言をした。

病院緩和ケア、訪問看護、居宅支援(ケアマネージャー)の
視点から、ガン医療についての発言であった。

居宅支援として援助にかかわる立場として
在宅医で訪問医療にたずさわっておられる
加藤医師の発言を今回はとりあげてみた。

ケアマネージャーとしても、在宅医の存在なしでは
看取りなど、到底不可能である。

そして、令和2年の4月で施行から20年となる
介護保険という制度が、いまだに病院病棟に理解されていないと
いうことは、悲しいかぎりである。

なぜに、病院医療側に、在宅での患者の生活に対する理解が
進んでこないのかというのが、ケアマネージャーへの酷評になって表れている。

ケアマネージャーという職種自体が分かっておらず、
介護計画そのもの、また、マネジメントをするということへの
理解がないため、在宅での何でも屋的に認識され、
そのうちにケアマネ自身が、医療側とかかわる自信を失ったせいではないか。

ケアマネは患者、家族の思いや福祉を受ける目的を
言語化し、共有し、サービスをうごかし、結果を評価し
再計画しと介護生活を俯瞰する存在である。と認識を持っている。

日本の社会が高齢化がすすみ、先進医療より
地域での医療が必要とされているのに、
病院にしがみついているのは
患者であるのか、医療者であるのか。

結局のところ、病院では死ねず、
在宅でも医師が足りず、
患者はただただ、さまようのか。

介護保険ですべてが解決されるわけでもないのに、
20年間の間に家族の介護力はますます弱くなり、
家族というより、単身での生活を余儀なくされていく。

 

会場に発言をもとめるシーンがあり、ある家族から

「私たちは、おいてきぼりです。連携といっても
医療者どうしのことでしょう。となりの八百屋さんや
魚屋さんと連携してくれるわけではないのですよね。」

と答えられた。

これが、市民としての感覚であると実感する。

市民は、たくさんの一般の人との連携がとれていて
はじめて多職種連携と思っている。
身の回りの人こそ、頼りたい人である。

入院中も、悩みや訴えがあるにも、
忙しそうにしている医師や看護師に
相談するには、相当の勇気がいる。

長いガン治療の間、患者や家族は孤独に
病と向き合っているのよ。と
私には聞こえた。

医療間連携、医療介護連携を多職種連携と呼ぶのは
医療職、介護職のエゴ、高慢ではないだろうか。

人々をつなぐ役目として
医療介護の介護橋渡し、本人家族の代弁者としての
ケアマネージャーである。
さらなる、精進がもとめられる。

「ケアマネって、松竹梅どころか
1から10ぐらいランクありますよね。」

こんなこと、言われててイイわけない!

 

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退院から在宅療養への3つのハードル” に対して1件のコメントがあります。

  1. うめ より:

    私も母の介護中に経験しました。母が入院中は病棟の看護師さん達は一生懸命にしてくださいましたが、在宅でと決まったときはどうしよう!!というのが私の本音でした。幸いにもお一人の看護師さんから、「座れるようにリハビリしましょう。」と。その方が訪問看護師さんでした。出会えてほんまに良かったです。当時は介護保険もケアマネージャーさんもいませんでした。今もっと、ケアマネージャーさんの存在を病院側も認識し、いい連携をとれれば助かる人はたくさんいらっしゃると思います。患者さんはもちろん介護している方も現実の受け入れ方が違うと思います。よっぴーさん、応援します!!うまく伝えられなくてごめんなさい。

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