モンスター家族の正体
「今、お母さんご飯が食べられなくなって
入院した。」
友達からのライン！
「お風呂は順番だって言って入れてくれない
からお母さん、かゆがって掻きむしってしまって
いる。認知症もあるから、言ってもわからないの。」
「なんか病院に人質にとられたみたいだよ。」
と、友達のつぶやきはつづきました。
家族は病院になにも言えず、ただ見ているだけになりがちです。
病院への接しかたが今ひとつスッキリしない。
お世話になっている気持ちはあるけれど、
なんだか、やるせない。
まかせっぱなしで大丈夫？
イライラの状態に、多くの家族は陥ります。
イライラ不満をぶつけて、
病院でモンスター化している
ちょっと残念なご家族も‼
この問題について、かんがえてみました。
１．病院・施設にすべて任せるべき？
家族のなかには、
「病院、施設の職員でもないのに、
余計な世話をしたら
不満があると思われてしまうかも。」
「うかつに、病人にさわって、
具合が悪くなったらどうしよう。」
「看護師さんに叱られるかも！」など、
思いめぐらせてしまいます。
看護師さんに叱られるかも
ご本人が不快そうにしているのに、
自分は何もできないことに罪悪感まで持ってしまいます。
在宅でしっかりとお世話してきた人は
病院や施設に、最高の
お世話を期待している方もいます。
また、片方では
「忙しそうな職員さんたち看護師さんが
同じことをしてくれるわけはないだろう。」
「言っても無駄」と
相反した思いも持っています。
病気の治療で入院したり、在宅生活での
お世話ができなくなったり
と、致し方のない理由があるわけですが、
身内としては単純に理屈で
割り切ることができません。
割り切れない気持ちを理性で
抑えられなくなった家族さんのなかには、
病院や施設にモンスター化してしまう
残念なご家族も！
２．病院はただしい？
ケアは
病院が正しいとはかぎりません。
たとえば、人手不足のために病院都合の
ケアになってしまう。
友達のお母さんのように入浴の設備が
混み合うという理由で介護が
不充分ではご本人が気の毒ですね。
また、誤嚥性肺炎を恐れるあまり、
お口からの栄養摂取が不十分になる。
食べ物を安全にたべさせてあげる
介助の技術が育っていない現状もあります。
誤嚥なく、ご飯を食べさせてあげるのは
結構、高度な介護です。
現に私のケースでも
「ご自分で食べられない方はお受けできません。」
と、入所を断られたこともありました。
病院側、施設側の理由で介護するべきことがされないのは
ご本人や家族にとっては、とてもつらいことです。
３．いい関係づくりへむけて
病院に入院したら、【疾病を治す】というのが
一番になります。
当然といえば当然なのですが、
ただ、高齢化している現状では、
入院患者の大多数が
75歳以上の高齢者であり、
認知機能の低下もみられます。
疾病そのものは治療できても、
そのための安静の間に
廃用性症候群（身体の機能を使わないと、衰えること）に
なったり、
筋力が低下して歩行ができなくなったりします。
家族としては、
「入院しても、治らないのと同じだ。」
と感じてしまうし、
これからの介護への不安がのこります。
高齢者の予後について、
病院側も丁寧な説明が必要ですし
受け止める家族側にも覚悟が必要です。
家族としては、懸命に関わっているつもりでも
病院スタッフとすれ違うこともあります。
あるご家族は、
病室にノートを準備されました。
お見舞いのたびに、病院スタッフへの
ねぎらいと
ご本人の様子や、家族の思いを書きました。
また、希望や、自分たちでご本人のために
してあげたいことを提案し続けました。
病院スタッフにとっても、
患者さん家族さんに認めてもらえていることが
励みであり、モチベーションが
あがります。
批判的な態度をとることと
考えあわせれば、お分かりいただけると
思います。
医師も、看護師も、介護士も、
患者、家族側をわかりたいとの
気持ちが増します。
ご家族にちょっと、身体を拭いてもらえる。
お茶やお水でお口を湿らせる。
ご飯のときに見守ってもらえ、手助けしてくれる。
など一つ一つは、小さな事かもしれません。
でも、ちょっとお口を湿らせてあげるだけで、
ご本人は息が楽になります。
肌が触れ合うと安心です。
きっと、ご本人は嬉しいでしょう。
病院や施設が提供できないことで
ご家族が本人にしてあげられることが、
たくさんあると思います。
医療・介護側へは
入院や入所をからといって、
ご家族は介護を放棄しているわけではないです。
お家でのお世話には限界を感じられたので
預けていられるのです。治すために頼んでいる。
お見舞いに行ったときに、すこしでも本人を
喜ばせたいと思っておられる人は多いはずです。
病院側、施設側もご家族の力を引き出して、
一緒にお世話をしていくのだ。
という考え方はどうでしょうか。
家族側、病院側、おたがいに遠慮しあって
行動できない状態におちいっているのだったら、
ご本人にとっては辛いばかりですよね。
４．まとめ
これから、高齢人口は増え、労働人口は減少します。
医療、介護の必要な人は増えてきます。
でも、介護や医療に携わる人材が足りません。
人手不足のために、閉所する施設や、
建物は建ったけれど、開園できない施設も
いまや存在します。
家族は、家族が守るという姿勢が
求められるかもしれません。
他人事とおもわず、じぶん事として
高齢化を身近なことと考えましょう。
「僕は、親が倒れるまで、
明日の営業会議の事のほうが
大切だった。」とおっしゃった方も
います。普通はそうです。
みんな、自分たちの生活があります。
それでも、親が高齢になり、
弱るということは
いつかはくることです。
みんなで支える、地域で支える社会が
できるかどうかが
この国にとっての正念場なのです。
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