食支援への、2つの役割

NPO法人 口から食べる幸せを守る会

小山珠美先生の講演を聞いて思ったことを
中心にお話します。

カリスマ看護師!
テレビ等でも取り上げられた先生です。

【ファーストナビ介護】

1.小山珠美先生の講演の概要
 1-1  お口で食べるは当たり前すぎる。

「お口で食べる。」当たり前のことです。
人は口から食物を食べて、栄養にして
運動のエネルギーに変えている生き物です。

 

全くもって、当たり前のことです。

当たり前のことではありますが、
あまりに当たり前すぎてその凄さに
普通の人ばかりか、医療人も気づけていません。

 

「食べる」という事への理解が不足している。
凄いことなんだ。という意識がありません。

 1-2 食べさせる技術の問題

また、ご飯を食べさせてあげる介護
食事介助技術が不足しています。

まあ、いわば食べさせてあげるのが下手。
上手に食べさせてあげれば、もっと上手に食べられます。

 

「食べる」ことを包括的にとらえられていないのです。

いわば、のど、栄養、姿勢、口腔などの部分にとらわれすぎて
その人の生活そのもの全体に関した問題であると認識されていません。

全体のその人の生活の質に関わって
いると、とらえられていません。

 

発病の早い時点で医師等が

「食べられない。」と

判断してしまい、人口栄養になってしまう事があります。

人口栄養にすれば、病院側も安心してしまって
そのまま、いつまでも続けてしまって、
普通に食べる事、口から食べることにもどれなくなります。

 

家族は、介護に満足できていません。
しかし、とにかく人が少ないので。
とても、「介護もっと、しっかりしてほしい。」
なんて言いづらいのです。

「こんなつもりではなかった。」という思いになる人もいます。

 1-3 「食べられない」の判断

検査の結果が優先されて、本人や家族の
思いは聞き取ってもらえず、早い時期で
「食べられない。」と医師から判断されてしまって

相談もできず、不信がつのってしまい気味です。

 

しかし、脳梗塞の単発の発症の場合、
適切な処置をとりリハビリに進めば、

ほぼ、お口から食べられるように
回復させてあげられるのです。

 

しかし急性期病院で食べられないと判断されると
医師の決定は重く、変更することが簡単でないのです。

 

介護士や看護師では覆りません。

 

今の制度上

転院したい。と希望しても

急性期病から急性期病院への
転院は認められていません。

 

主治医と思いが違うからといって
病院をかわることは難しいです。

 

それを、家族も本人も知らないので
人工的に栄養を摂らせるようになるまでに
充分な話し合いを持っていません。

 

主治医との意見があわなくなると
どうすることも出来なくなって

困りはててしまいます。

 1-4 「食べられない」 そのあとの事

医師が、口からの食物摂取を禁止し、
人工栄養を選んだ時、

家族は今後に待ち受ける問題について、
多く、認識していません。

 

食べることは生きる気力と密接な関係があるので、

食べられないことで、本人の希望や生活の
楽しみを奪っているかもしれません。

 

食べ物を口で味わうこともなく、
ただ栄養をあたえられても
喜びにつながっているでしょうか。

 

この人は認知症がある人だとか、そのことはどうにもならないことであり
どうでもいいことでもあります。

 

認知機能が衰えた人に対してどのようなアプローチをするのかが
大切なことでしょう。

 

また、お口から食べ物を取ることが可能になり、

ほんの一口二口の食べ物でも自分で口に運べたことで、
本人は喜び、生きる意欲があがることは確かでしょう。

 

それが、家族との共有された思い出にもつながった、
懐かしい味であれば、なおさらでしょう。

 

食べることは生きる意欲の源である。

 

そのためには、発症後。
2日以内に嚥下訓練を開始する事が、

回復を確かなものにするということをつきとめました。

 

絶飲食の診断が出た時点で、いつまでこの状態を続けて、
いつから嚥下訓練を開始してもらえるのかなど、

 

医師に確認をとることから、家族は動いてください。
家族を守れるのは、家族でしかありません。

必要であるかどうか、わからないまま
無期限で絶飲食がつづき、

 

その中で、筋力が衰え、体力を奪われ廃用性症候群
(使わない事で体の機能が衰える事)を引き起こして

病気により身体能力がおちた以上に障害が進んで、

本当に口から食べられなくなってしまっていることが
あると感じています。

 

誤嚥性肺炎と口からの食事の関係は必ずしも、
原因と結果ではなく、他の要因も多く考えられます。

体力がおちれば、当然、筋力もおちて
食べることに必要な力もなくなります。

お口の衰えがあり、
常に誤嚥して気道に食物や唾液がたれ込んでいる
患者に対して口から食事を与えるという行為は、
窒息などの危険がある行為でもあります。

 

なので、やみくもに食べさせるのではなく
専門職として本人の能力を包括的に判断し
安全に可能な分だけ口から食べていただけるように、
介護技術の向上と、判定の指針となる口腔アセスメントの
基準を作成し普及させようとしています。

 

 

2.ケアマネージャーがすべきこと

私たちケアマネージャーが関われるであろう事は
2つにしぼれた、と思います。

 2-1 口腔機能について、家族が知る機会を作る。

一つ目の役割として、ケアマネージャーは

家族は、お口から食べるという全く当たり前のことについて、
問題が起こるまでは、当たり前すぎて軽んじています。

常日頃から、ケアマネジャーとして
「口から食べられなくなるという事が起こる。」という事に
気付いてももらえるように、関わります。

食べるということは、口腔が健全であり、
きちんと、清潔に保たれ、噛む力、飲み込む力を
持っていなければならないので、

いつも、どんなものを食べておられるか、義歯はあるのか。
など、情報を聞き取って、必要であれば歯科の受診に
つながるように援助し、入院時には入院先への
情報提供をさせて頂くことです。

また、衰えないように維持できるように、
しっかり噛んでたべることをお勧めしていくことです。

 2-2 食べさせる技術の向上を促す。

2つ目の役割は、技術の伝達、継承をうながすこと。
食事介助技術の向上を目指してもらえるように働きかけることです。

 

介護において、食事をたべさせる技術は高度です。

そのうえ本人の喜びと生存の確保に
大きく関わります。

 

また、非常に手間のかかる介護でもあります。

介護職の熟練と人の手がいります。

ご飯は、ほぼ同時に提供されます。
同時刻に介助する人数を確保しなければいけないので、
介護側本位の介護になりがちです。

本人の食べたい気持ちにさせる調理方法や盛り付け
目で食べ物を確認でき、嗅覚に訴え、みずから
食べられるようになるように介護していく方法を
共有できるように、伝えていくことです。

 

食事の介助方法や、高齢者の食べやすいお料理については
詳しい記事をつくりますね。

 

3.まとめ

ケアマネージャーって、実際の介護なんもしない!

介護職からは、ちょっと浮いた存在かもしれない。(笑笑)

そのぶん、情報を管理、伝え、ご本人が思う生活が
出来るように、取り戻せるように考えるのが仕事!と思っています。

食の支援も、その一つでしょう。

また、介護、医療の橋渡しでもあります。

チームを形成しみんなで、目標到達を目指していただく
コーディネーターの役割が大きいです。

 

小山さんの講演は、「食べること」への
思いが強くつたわってきました。

氏も、家族が絶飲食の診断を受けたことで、
「何故」「何故」と、苦しんだことが
原動力となって、「口から食べる。」を研究されたそうです。

介護をしている立場のご家族にも、
同じようなお悩みがあるかとおもいます。

 

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食支援への、2つの役割” に対して4件のコメントがあります。

  1. うめ より:

    本当に、口から食べることは大切だと思います。私が介護している時は絶対に最後まで口から食べてもらう=生きてること。と思ってさせていただきました。入院後言葉も話せなくなり、やっとで座れるようになった母にみかんを一房手にのせて食べてもらった時は、おもわず、天に感謝しました。当たり前のことができることの大切さを母に教えてもらいました。幸いにも主治医の仰るには、「どんな、いい薬、点滴よりも口から食べるのが一番です。」と指導を受け、流動食は本当に晩年の数か月でした。
    よっぴーさんのブログは、本当に今現在、介護をしている方や当事者の方々に役立っていると思います。
    今、私は介護を卒業しましたが、他人事とは思えません。どれほど大変か身をもって分かっていますから。
    よっぴーさんの活動は素晴らしいと思います。
    いろいろと大変な事もあるでしょうが、発信を続けてください!!

    1. yoppi より:

      うめさん、有難うございます。コメント読ませていただいて、ウルウルしてしまいました。食べることが嫌で嫌いな人なんていませんよね。それなのに、さも当然のように絶飲食と言われれば、家族は言葉がでないですよね。先にちょっとの知識があったら、医師にもっと突っ込んだ質問ができたのになあと思う人はいるでしょうね。お言葉を励みにして、皆様によりよい情報お伝えしたいとおもいます。

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